歯列矯正の必要性と種類をわかりやすく紹介!やらなきゃよかったとならないための注意点も確認

 

歯列矯正と言えば、金属の矯正装置をずっと歯の表面につけるイメージを浮かべる方も多いのではないでしょうか。

近年は透明で目立ちにくく取り外しが気軽に行えるマウスピース矯正など、さまざまな歯列矯正の方法があります。「周りに矯正していることがバレたくない」と思っている方でも矯正が行えます。

「歯は人の印象を決める」と言っても過言ではないほど周りからの印象に重要です。

この記事では歯列矯正が気になっている方向けに、歯列矯正の必要性とその種類やメリット・デメリットを紹介します。

歯列矯正とはどんな治療なのか?概要を紹介

歯列矯正とは、矯正装置を使って歯並びや噛み合わせを改善する治療方法です。

歯並びや噛み合わせが悪い状態は不正咬合(ふせいこうごう)と呼ばれ、以下のような種類があります。

不正咬合の種類 状態
叢生(そうせい) 歯があごに入りきらず、デコボコで重なり合っている状態
開咬(かいこう) 奥歯を噛んだ時に前歯が合わず歯並びに隙間が空いている状態

前歯で麺類が噛み切れないのが特徴

交叉咬合(こうさこうごう) 上下の噛み合わせが横にずれている状態

不正咬合には多くの種類があり、あごや歯並びの状態で適した歯列矯正の方法は変わってきます。矯正方法は自己判断で決めず、医師とともに矯正方法を決めていきましょう。

今は約8%の方々が歯列矯正を経験しており、20代は全体の4割以上が歯列矯正に興味を持っています。歯のケアへの意識が高まっており、今後より多くの方が歯列矯正を始める可能性が高いでしょう。

参考 令和4年 歯科疾患実態調査|厚生労働省

 

歯列矯正の必要性|放置するリスクを紹介

歯列矯正は歯やあごの機能的改善のために必要です。

歯並びや噛み合わせが悪いままにしておくと咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)がしにくくなったり、滑舌や発音に影響が出たりしてしまいます。歯列矯正は「見た目を良くするため」と思われがちですが、実は機能的改善のためにも大切な治療です。

歯列矯正をすることで食べ物をしっかりと噛めて、胃腸への負担も減らせます。また、歯並びが整っていると口腔内を清潔に保ちやすくなるため、虫歯や歯周病の予防にもなるのです。

 

歯列矯正を受ける3つのメリット

歯列矯正を受けるメリットを3つ紹介します。

  • 口まわりや横顔などの見た目が整い自信がつく
  • 虫歯・歯周病などを予防し口腔内を清潔に保ちやすくなる
  • 滑舌が良くなってハキハキと発音ができる

口まわりや横顔などの見た目が整い自信がつく

歯列矯正を受けることで歯並びが整い、自分に自信がつきます。

歯並びを正常な位置に動かすと、正面からの見た目や横顔が整いきれいなEラインもつくれます。

見た目が美しくなると、口を開けて歯を見せることにも抵抗が減るので、自然と笑顔も増えていくでしょう。

虫歯・歯周病などを予防し口腔内を清潔に保ちやすくなる

歯列矯正をすると口腔内を清潔に保ちやすくなるため、虫歯や歯周病などを予防しやすいです。

歯並びが悪いと歯ブラシやフロスが奥まで届かず磨き残しが増えたり、プラークや歯石が溜まったりする傾向にあります。

歯列矯正で歯の重なりが改善されると口腔内のケアがしやすくなり、清潔を保ちやすいです。そのため、虫歯や歯周病などの病気の予防になります。

また、口腔内の不衛生が原因で起こる口臭も改善できるでしょう。

滑舌が良くなってハキハキと発音ができる

歯列矯正を受けると活舌が良くなり、発音しやすくなります。

実は歯並びの悪さは、発音にも影響を及ぼしているのです。歯並びが悪いと舌や唇の動きが制限され、活舌や発音に影響が出てしまいます。

歯列矯正で歯並びが改善されると舌や唇が動きやすくなるため、発音の改善が期待できます。

歯列矯正で用いられる主な方法

歯列矯正の方法は主に以下の3つです。

  • マウスピース矯正
  • ワイヤー矯正
  • ハーフリンガル矯正

マウスピース矯正

マウスピース矯正は透明で目立ちにくい装置をつけて歯を移動する方法です。

装置は自由に取り外しが行えるため、食事や歯磨きの時などの妨げになりません。

また、ホワイトニングも並行して実施可能です。マウスピース矯正の開始と同時にホワイトニングを始めることで、矯正終了とともに白くてきれいな歯を手に入れられます。

ただし、マウスピース矯正は1日20時間以上装着する必要があります。装着時間が不足すると矯正が計画通り進まないため、食事と歯磨きの時以外は装置を装着するなど自己管理を徹底しましょう。

関連記事:マウスピース矯正とは?メリットやワイヤーとの金額の違いを紹介

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歯にブラケットと呼ばれる金属の器具を装着し、ワイヤーを通して歯並びを整える方法です。

ワイヤー矯正には表側矯正と裏側矯正の2種類があります。

表側

歯の表側に装置をつけて矯正する方法です。

表側矯正は歯列矯正方法の中で歴史が長く、対応している歯科医院が多く、適応範囲が広いことが特徴です。

しかし、矯正装置を自分のタイミングで外せない点がデメリットといえます。他方、マウスピース矯正など矯正器具の装着時間の自己管理が難しい方にとっては適した治療法と言えるでしょう。

裏側

歯の裏側に装置をつけて矯正する方法です。

矯正装置が表側から見えないため、周りの方に気付かれずに歯列矯正を行えます。また、歯の表面をしっかりと磨けるため、歯の表面からの虫歯や歯周病の予防がしやすいです。

しかし、裏側矯正はより専門的な技術が必要なため対応している歯科医院が限られています。また、表側矯正に比べて費用が少し高めです。

また、歯の裏側にある装置を歯磨き時にケアしないと不衛生になりやすいほか、舌が装置にあたって違和感や話しにくさを覚えることがあります。

関連記事:ワイヤー矯正の種類と仕組みを紹介!値段・痛みなどの懸念点も解消

ハーフリンガル矯正

ハーフリンガル矯正とは上の歯を裏側矯正、下の歯を表側矯正で治療する方法です。

矯正装置が目立つ上の歯のみを裏側矯正にすることで、表側矯正よりも装置が目立ちにくくなります。また、下の歯のみ表側矯正にすることで、全体で裏側矯正をする場合より費用が抑えられる点が特長です。

しかし、ハーフリンガル矯正は慣れるまで発音しにくくなるケースがあります。これは、発音する時に舌にワイヤーが引っかかるためです。装置に慣れれば問題なく発音できるため、大きな心配はいりません。

 

歯列矯正を始める前に知っておきたい注意点

歯列矯正を始める前に知っておきたい注意点が6つあります。

  • 矯正器具の装着中は口の中に違和感が出やすく痛みが伴う
  • 矯正費用が高くなって家計の負担となりやすい
  • 方法によっては器具が目立って見た目に影響が出る
  • 入念な口腔ケアと装着ルールの厳守が必要となる
  • 矯正期間が終わった後も保定しないと歯が後戻りする
  • 矯正開始時に抜歯をするケースもある

歯列矯正後に後悔しないために注意点を把握しておきましょう。

矯正器具の装着中は口の中に違和感が出やすく痛みが伴う

歯列矯正中は装具の違和感が出やすく、痛みを伴うケースがあります。

歯列矯正は装置をつけて少しずつ歯を正常な位置に動かす治療です。歯が動く時に、わずかながら痛みや違和感を覚える方もいます。

また、矯正装置に慣れるまでは食事や会話の時に、装置と唇や口腔内の粘膜と擦れることで口内炎ができる場合があります。

徐々に粘膜が強くなり口内炎ができにくくなるため、慣れるまでの辛抱が必要です。

矯正費用が高くなって家計の負担となりやすい

歯列矯正は自由診療で費用が高額のため、家計の負担になりやすいでしょう。

歯列矯正は種類によりますが全体矯正の場合は60万円〜、部分矯正の場合は10万円〜と高額です。また、医療費控除の対象にもなりません。

クレジットカード支払いやデンタルローンに対応している歯科医院もあるため、できる限り家庭の負担を減らせるように支払い方法は慎重に考えましょう。

方法によっては器具が目立って見た目に影響が出る

歯列矯正の種類によっては、矯正装置が目立つため見た目に影響が出ます。

特に歯の表側矯正では矯正器具が常に周りに見えます。営業職や人前に出る仕事など、見た目に気を遣う職業の方は注意が必要です。

入念な口腔ケアと装着ルールの厳守が必要となる

歯列矯正では入念な口腔ケアと装着ルールの厳守が必要です。

マウスピース矯正の場合は1日20時間以上装置をつける必要があり、装着時間の不足は矯正の精度を落とす原因になります。また、歯と装置の両方のケアが必要です。

矯正治療中に口腔ケアを怠ると虫歯や歯周病を起こす可能性があります。虫歯や歯周病は矯正治療を中断して症状を治療しなければならないため注意しましょう。

矯正期間が終わった後も保定しないと歯が後戻りする

歯列矯正後はまだ歯の位置が安定していないため「後戻り」する可能性があります。

後戻りとは、矯正開始前の位置に歯が戻ってしまうことです。後戻りしないために、歯列矯正後はリテーナー(保定装置)をつけて過ごす必要があります。

万が一、後戻りが矯正途中で起きた場合はやり直すことがあります。歯科医院によっては追加費用がかかるため注意が必要です。

矯正開始時に抜歯をするケースもある

歯並びの状態によっては矯正治療の開始前に抜歯を行います。

重度な出っ歯や受け口など複雑な症例の場合、歯を動かすスペース確保のために処置が必要です。

抜歯を行う場合は歯列矯正の費用以外に別途で抜歯費用がかかります。また、抜歯した部分に2〜3日程度の痛みや腫れが出るため注意が必要です。

 

歯列矯正にかかる平均的な費用・期間を方法別に紹介

歯列矯正にかかる平均的な費用と治療期間を表にまとめました。

  費用 期間
マウスピース矯正 全体矯正:60万円~100万円

部分矯正:10万円~40万円

全体矯正:1~3年程度

部分矯正:2ヶ月~1年程度

ワイヤー矯正(表側) 全体矯正:60万円~130万円

部分矯正:30万円~60万円

全体矯正:1~3年程度

部分矯正:2ヶ月~1年程度

ワイヤー矯正(裏側) 全体矯正:100万円~170万円

部分矯正:40万円~70万円

全体矯正:2~3年程度

部分矯正:5ヶ月~1年程度

歯列矯正の種類によって費用は大きく異なります。また、全体矯正か部分矯正かにより治療期間も違います。

費用と期間は治療方法を決める上で重要です。医師とともに慎重に治療方法を決めましょう。

関連記事:マウスピース矯正とワイヤー矯正ならどっちがいい?知恵袋でよくある質問と矯正方法選びの3つのポイント

 

自分に適した歯列矯正のやり方を選ぶ際のポイント

自分に適した歯列矯正の方法を選ぶ際のポイントが3つあります。

  • 歯並びがどんな状態で、どの程度きれいにしたいのか
  • 矯正中に器具が目立つことをどれだけ許容できるか
  • 歯列矯正にどれだけの予算・期間をかけられるか

今の歯並びからどの程度きれいにしたいかで、矯正の方法や費用が変わってきます。「全体的に歯並びが悪いけれど、人に見える前歯(部分)だけで十分」という場合は全体矯正に比べて費用を抑えやすいです。

また、予算に応じて矯正方法を提案してもらうことも可能です。予算内で可能な範囲の部分治療を行うと、全体矯正に比べて安くなります。

費用がかかっても全体をきれいにしたい場合は、矯正中に装置がどの程度目立つことが許容できるかなどで矯正方法を選ぶことがおすすめです。

 

歯列矯正を検討中の方によくある質問

歯列矯正を検討中の方によくある質問をまとめました。

  • 何歳から歯列矯正は始めてもいいですか?
  • 歯列矯正をやめたほうがいい人の特徴はありますか?
  • 歯列矯正は保険適用外になるって本当ですか?
  • 歯列矯正は医療費控除の対象になりますか?

何歳から歯列矯正は始めてもいいですか?

歯列矯正は何歳から始めても大丈夫です。

歯列矯正の種類によって適応年齢は異なるため、治療法によって適応外になるケースもあります。

歯列矯正は早めに始めるほど、治療期間は短く済みやすいです。大人に比べて子供の方が歯列矯正をしやすく、かかる費用も抑えられます。

特に、永久歯に生え変わりが始まる成長期の間はあごも成長している段階のため、歯とあごのバランスをコントロールしやすいです。

歯列矯正をやめたほうがいい人の特徴はありますか?

歯列矯正をやめた方がいい方の特徴は以下の5つです。

  • 痛みや抜歯に極端な苦手意識がある
  • 数年間の矯正による見た目の変化が耐えられない
  • すでに虫歯・歯周病・顎関節症である(→先に治療すればOK)
  • 毎食後の歯磨きの習慣がない
  • 装着時間・交換期間などのルールが守れない

すでに虫歯や歯周病、顎関節症などの病気がある場合は治療から始める必要があります。まずは治療に専念し、病気が完治したら歯列矯正を始めましょう。

マウスピース矯正の場合は、装置の装着時間や交換時期を自分で管理する必要があります。これらのルールが守れない場合は期待する効果を得にくいため、マウスピース矯正はやめた方がいいでしょう。

参考 顎関節症|日本歯科医師会

歯列矯正は保険適用外になるって本当ですか?

歯列矯正は基本的に保険適用外です。

ただし、発育段階の子供の成長を阻害する不正咬合の歯列矯正など、年齢や矯正の目的から治療が必要と認められる場合は保険が適用されるケースがあります。

大人が行う審美目的の歯列矯正は保険が適用外のことが多いため、注意しましょう。

参考 歯列を矯正するための費用|国税庁

歯列矯正は医療費控除の対象になりますか?

審美目的の歯列矯正は基本的に医療費控除の対象にはなりません。

歯の治療で対象となる医療費控除は、目的が社会的通念上必要だと認められる場合です。例えば、発達段階にある子供の成長が阻害される場合の歯列矯正や、虫歯や歯周病など病気の治療のための費用です。

また、医療費控除はかかった費用の全額が控除されるわけではありません。保険のきかない自由診療によるものは医療費控除の対象にならず、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額が対象です。

参考 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁

 

歯列矯正への正しい理解を深めて慎重に検討しましょう

歯列矯正にはさまざまな種類があり、メリットやデメリットが異なります。

マウスピース矯正のように矯正が目立ちにくいものもあれば、ワイヤー矯正のように矯正が目立つけれども費用は抑えられる矯正もあるなどさまざまです。

歯列矯正は口元や歯並びなどの見た目が整うだけではなく、虫歯・歯周病などの病気が予防できたり、発音が良くなったりするメリットがあります。

歯列矯正の必要性を理解したうえで、費用や治療期間、矯正器具の目立ち方などから自分に合った矯正方法を選びましょう。

歯列矯正について気になった方は、「歯の総合予約サイト〜BEAUTEETH」のショート動画を参考にし、自分に合った矯正方法を探してみてください。