歯の矯正期間は何年くらいかかる?早く終わる人の特徴や延びるリスクを紹介
歯の矯正は個人差が大きく、口腔状態や選択する矯正方法によって期間は大きく異なります。数ヶ月で終わる場合もあれば、3年と長い期間がかかる場合もあります。
そのため「歯の矯正期間は長すぎる」と不安な方も多いのではないでしょうか。
矯正に際していくつかのコツを実践することで、矯正期間を短縮し、理想の歯並びを早く手に入れることも可能です。
この記事では、歯の矯正の平均的な期間や短期間で終わらせるための施術方法などを紹介します。歯の矯正期間を延ばさないためのポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
歯の矯正の期間は「矯正」と「保定」に大別される
歯の矯正期間は、大きく「矯正期間」と「保定期間」に分けられます。2つの期間を合計すると、一般的に3年~4年半程度です。
矯正期間は、さらに全体矯正と部分矯正によって異なり、全体矯正で1年〜3年、部分矯正で2ヶ月~1年程度かかります。保定期間は一般的に2年程度です。
歯の矯正には矯正期間と保定期間の両方が必要であると理解した上で、それぞれの期間の目安を見ていきましょう。
矯正期間
矯正期間は「全体矯正」と「部分矯正」により異なり、全体矯正の場合で1年〜3年、部分矯正の場合は2ヶ月~1年程度かかります。
全体矯正とは上下の歯並び全体を改善する矯正方法です。部分矯正とは異なり、奥歯を含むすべての歯を動かすため、より複雑な症例にも対応できます。
部分矯正は前歯のみや特定の歯だけを動かす矯正方法です。全体矯正と比べて範囲が狭いため、矯正期間も短くなります。
全体矯正や部分矯正に関わらず、矯正期間は歯並びの複雑さ、使用する矯正装置、年齢など、さまざまな要因によって左右されます。
保定期間
保定期間は一般的に2年程度です。保定期間とは、治療が終わったあとリテーナーと呼ばれる装置を装着して、歯の位置を安定させる期間です。
矯正で動かした歯は、元の位置に戻ろうとする力が働いています。歯が元の位置に戻らないように、マウスピースのようなリテーナーを1日20時間装着して保定します。
保定期間は矯正にかかった同じ期間が必要であるため、症例によっては3年以上必要になる場合もあるでしょう。
【装置別】歯の矯正にかかる期間を値段とともに紹介
ここからは、歯の矯正にかかる期間を以下の2つの装置別に紹介します。
- マウスピース矯正
- ワイヤー矯正(表・裏)
マウスピース矯正
マウスピース矯正の期間は2ヶ月~3年程度と、元の歯並びの状態や使用するマウスピースの種類によって大きく異なります。
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす矯正方法です。透明なマウスピースを使用するため、装着していても目立ちにくいメリットがあります。一方で、歯を大きく動かす必要がある場合や、顎の骨格に問題がある場合などは対応できません。
マウスピース矯正には、インビザラインをはじめとする複数のブランドがあります。ブランドにより歯を動かす力が異なるため、矯正期間や費用も異なります。
矯正期間 | 費用の目安 | |
全体矯正 | 1年~3年 | 60万円~100万円 |
部分矯正 | 2ヶ月~1年 | 10万円~40万円円 |
関連記事:マウスピース矯正の値段と安くする3つの方法!前歯だけの場合や子どもの矯正費用・相場を徹底解説
ワイヤー矯正(表・裏)
ワイヤー矯正は歯の表面に装置をつける「表側矯正」と、裏側につける「裏側矯正」の2種類があります。全体矯正の表側矯正は2ヶ月~3年、裏側矯正は5ヶ月~3年程度の期間が必要です。
表側矯正は、ブラケットと呼ばれる装置が目立ちやすいデメリットがあります。一方で裏側矯正に比べ、矯正期間が短く費用も抑えられる点がメリットです。
裏側矯正は、目立ちにくいメリットがある反面、表側矯正より期間が長くなり費用が高額になる傾向があります。
ワイヤー矯正の期間に個人差が発生する要因は、歯並びの複雑さや年齢、通院頻度などです。定期的に通院してワイヤーを調整する必要があるため、適切な頻度を守らないと歯の動きが鈍くなり、矯正期間が延びる可能性があります。
矯正期間 | 費用の目安 | |
全体矯正 | 表側矯正:1年~3年
裏側矯正:2年~3年 |
表側矯正:60万円〜130万円
裏側矯正:100万円〜170万円 |
部分矯正 | 表側矯正:2ヶ月~1年
裏側矯正:5ヶ月~1年 |
表側矯正:30万円〜60万円
裏側矯正:40万円〜70万円 |
関連記事:ワイヤー矯正の種類と仕組みを紹介!値段・痛みなどの懸念点も解消
歯の矯正が長期間で実施される理由とは?
歯の矯正は一般的に数ヶ月〜3年と長い期間が必要です。長期間かかるのは、歯をゆっくりと緩やかに動かす必要があるためです。
歯に力をかけると、歯槽骨と呼ばれる骨が吸収されて歯が動きます。歯槽骨の吸収には時間がかかり、1ヶ月に1mm程度しか歯が動きません。
もし無理に力をかけて歯を動かすと、歯茎が下がったり神経が壊れたりするなどのリスクがあります。そのため、歯科医は患者の歯の状態を慎重に分析し、安全かつ効果的に歯を動かす力を調整します。
また、歯を動かすだけでなく新しい歯並びを安定させることも重要です。歯槽骨が新しい歯の位置に馴染むには、矯正装置を外したあともリテーナーと呼ばれる装置を装着して歯並びを維持する必要があります。
このような理由から、安全で効果的な歯の矯正を行うためには長い期間をかける必要があります。
歯の矯正が早く終わる人の特徴
歯の矯正が早く終わる方の特徴として、以下が挙げられます。
- 年齢が若い
- 抜歯が必要ない
- 虫歯や歯周病にかかっていない
顎の骨が成長段階にある小中学生などは、大人に比べて矯正期間が短くなります。新陳代謝が高いため、歯槽骨の代謝も活発で歯が動きやすいためです。
抜歯が必要な場合は歯を動かすスペースを作るために時間がかかり、矯正期間が長くなります。そのため、抜歯が必要ない場合の方が短期間で終わるでしょう。
また矯正を早く終わらせるためには、虫歯や歯周病にかかっていないことが重要です。虫歯や歯周病があると治療を優先するため、矯正の期間が長引きます。先に治療を終わらせておくと、矯正を短縮できる可能性が高くなります。
関連記事:歯列矯正が早く終わる人の特徴と期間を短くする3つのポイント!期間短縮のためにできることを徹底解説
歯の矯正を短期間で終わらせるための施術方法
歯の矯正を短期間で終わらせるためには、従来と異なる施術方法や、装置・手術を組み合わせるなど、以下に挙げる選択肢も検討しましょう。
- セラミック矯正(補綴矯正)
- オーソパルス
- セルフライゲーションブラケット
- アンカースクリュー
- コルチトミー
ここからは各施術を紹介します。矯正期間を短縮したい場合は、歯科医院でカウンセリングを受け、自分に合った方法を見つけましょう。
セラミック矯正(補綴矯正)
セラミック矯正(補綴矯正)は、歯を削ってセラミックの被せものをすることで、歯並びを整える施術方法です。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正のように歯を動かすのではなく、被せもので歯の形や位置を調整するため、1ヶ月〜2ヶ月程度の期間で完了する点がメリットです。
歯を削って被せものをするため、健康な歯を削る必要があります。歯を深く削る必要がある場合は、神経の治療が必要になる可能性があります。
セラミック矯正は、歯並び全体ではなく部分的な矯正が対象です。費用の目安は3万円〜70万円程度です。
オーソパルス
オーソパルスは、近赤外線LEDを歯の周辺組織に照射して、矯正期間の短縮と痛みの軽減を図る装置です。1日10分間の照射を継続して行います。
カナダのバイオラックスリサーチ社によって医療機器として開発され、2015年にFDA(米国食品医薬品局)で認証を受けました。
近赤外線による細胞活性化により、歯の移動速度が速くなり、矯正期間が短縮される点が大きな特徴です。通常10日〜2週間で交換するマウスピースが、1週間で交換できるようになり、矯正期間が約50%短縮できるとされています。
通常の矯正方法に追加するオプションとなり、費用相場は10万円~15万円程度です。
セルフライゲーションブラケット
セルフライゲーションブラケットは、従来のブラケットに比べ少ない摩擦で歯を動かす力が効率的に伝わるため、矯正期間が短くなる可能性があります。
セルフライゲーションブラケットとは、ブラケット自体に蓋がついていることでワイヤーを保持するタイプの矯正装置です。
歯を動かすには、歯を支える骨を傷つけないように適切な力で行う必要があります。セルフライゲーションブラケットの場合、弱い力で効率的に動かせるため、矯正期間の短縮や痛みの軽減につながります。
多くのクリニックではオプション扱いとなり、費用相場は70~90万円程度です。
アンカースクリュー
アンカースクリューは、矯正において歯を動かすための支点として顎の骨に埋め込む小さなネジです。歯に直接力を加えるよりも、顎の骨を支点とする方が効率的に歯を動かせるため、矯正期間の短縮につながります。
アンカースクリューの併用により、歯を動かしたあとも安定した状態を保ちやすいため、後戻りのリスクが軽減できるとされています。
一方で、アンカースクリューは口腔内に露出しているため、細菌感染のリスクに注意が必要です。感染を防ぐためには、口腔内を清潔に保つことが重要です。オプション扱いとなり、費用相場は1本あたり2万円~15万円程度となります。
コルチトミー
コルチトミーとは、歯槽骨皮質骨切除術と呼ばれる、矯正期間を短縮するための外科手術です。
歯を支える骨である歯槽骨の表面部分(皮質骨)に切れ目を入れることで、骨の治癒過程を促進し歯を動かしやすくします。一般的には数ヶ月~1年程度、矯正期間を短縮できるとされています。
一方、外科手術が必要になるため痛みや腫れなどのリスクがある点や、症例によっては適応できない点がデメリットです。コルチコトミーは、通常の矯正費用に加え、両顎で50万円前後かかります。
歯の矯正が延びると起こり得るリスク
歯の矯正期間が延びると、以下のようなリスクがあります。
- 矯正装置の再調整・再発注によって追加費用がかかる
- 矯正による痛み・身体への負担がかかる期間も延びる
- 通院や装置の洗浄などの手間が余計にかかる
歯の矯正は定期的な矯正装置の調整により、歯を少しずつ動かします。矯正期間が延びると歯の状態が変化し、矯正装置の再調整や再発注の追加費用が発生しかねません。
また、矯正期間が延びると痛みや違和感が続く期間も長くなってしまいます。矯正装置の装着は、食事や発音などにも影響する場合もあるでしょう。
矯正には定期的な通院と、自宅での装置の洗浄やメンテナンスが必須です。矯正期間が延びると通院回数や洗浄の手間も増え、負担が大きくなります。
歯の矯正期間を延ばさないためにできること
歯の矯正期間を延ばさないためには、適切な装着や口腔ケアが必要です。以下では、歯の矯正期間を延ばさないために注意するポイントを紹介します。
- 適切なやり方で矯正装置を装着する
- 口腔ケアと装置の洗浄をこまめに行う
- 定期健診のペースを守る
適切なやり方で矯正装置を装着する
歯の矯正をスムーズに進めるためには、適切な方法で矯正装置を装着することが重要です。
矯正装置は、歯を動かすための重要な役割を担っています。装着方法が間違っていたり、装着時間が短かったりすると効果が薄れ、計画通りに歯が動かない可能性があります。
自己管理が必要なマウスピース矯正の場合、1日20時間~22時間の装着が必要です。短時間しか装着しないと歯が十分に動かず、矯正期間が延びる可能性が高まります。
口腔ケアと装置の洗浄をこまめに行う
矯正期間を伸ばさないためには、こまめな口腔ケアと装置洗浄も大切です。
矯正装置は歯の周りに複雑な形状で装着するため、磨き残しができやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。虫歯や歯周病患は矯正の進行を阻害し、場合によっては中断を余儀なくされることもあります。
毎食後、歯ブラシとフロスを使って、歯と矯正装置の隙間を丁寧に磨きましょう。歯ブラシは矯正専用のものを用意し、歯茎の状態によって硬さを選びましょう。フロスは、歯間ブラシよりも効果的に歯垢を除去できます。
取り外し可能なマウスピースやリテーナーは、毎日水で洗い流しましょう。さらに週に1~3回程度、専用の洗浄剤での消毒がおすすめです。
定期健診のペースを守る
矯正期間中は、歯科医院への定期健診のペースを守ることも大切です。矯正装置は、歯に負担をかけながら少しずつ動かしていくため、定期的な調整が必要です。また、経過を記録し、必要に応じて治療計画を変更することもあります。
定期健診の頻度は、矯正方法や経過によって異なりますが、一般的には月に1回程度が目安です。しかし、経過が順調であれば、2ヶ月~3ヶ月に1回へ伸ばすことも可能です。
歯の矯正期間に関するよくある質問
歯の矯正に関するよくある質問を紹介します。ぜひ参考にして、適切な治療に役立ててください。
- 歯の矯正期間中の通院頻度は?
- 歯の矯正の効果はいつごろから実感できる?
歯の矯正期間中の通院頻度は?
歯の矯正期間中の通院頻度は、矯正方法や装置の種類、治療経過によって異なります。一般的には、以下の通りです。
矯正方法 | 通院頻度 |
マウスピース矯正 | 1~3ヶ月に1回 |
表側矯正 | 1ヶ月に1回 |
裏側矯正 | 1ヶ月に1回 |
マウスピース矯正は、取り外し可能なマウスピースを使って歯を動かす方法のため、1~3ヶ月に1回と、通院頻度が比較的低い点が特徴です。
表側矯正と裏側矯正は、ワイヤーとブラケットを使って歯を動かすため、マウスピース矯正よりも通院頻度が高くなります。一般的には、1ヶ月に1回のペースで通院し、ワイヤーの調整やブラケットの交換、歯並びや装置の状況を確認します。
歯の矯正の効果はいつごろから実感できる?
矯正の効果を実感できる時期は、一般的には3ヶ月~半年程度と言われています。中には、3週間程度で効果を感じ始める方もいます。しかし、歯が動くスピードは、年齢や歯の状態、矯正方法などによって個人差が大きいため、一概には言えません。
マウスピース矯正の場合は、マウスピースを交換するタイミングで効果を実感しやすくなります。新しいマウスピースを装着すると、歯に少し力を感じるため、歯が動いていることを実感できるでしょう。
歯の矯正期間を短縮して理想の歯並びへ早く整えましょう
歯の矯正は、矯正期間と保定期間を合計すると、3年~4年半程度かかります。矯正期間は長期にわたるため、多くの方が躊躇してしまうのも事実です。
しかし、指示通りに装置を装着する、口腔内を清潔に保つ、定期的な通院を怠らないなどのコツを実践することで、矯正期間を伸ばさずに治療できるようになります。
矯正期間を短縮するためには、歯科医とのコミュニケーションや連携も重要です。紹介したポイントを意識しながら歯科医の指示に従い、より早く理想の歯並びへ整えましょう。
できるだけ早く理想の歯並びを手に入れたい方は、ぜひ「歯の総合予約サイト~BEAUTEETH」のショート動画を参考にして、自分にあったクリニックを探してみてください。