矯正が終わらない理由と期間が延びる人に共通する7つの特徴!早く終わらせる方法とは
「歯列矯正がなかなか終わらない…」
「途中だけどもうそろそろやめたい…」
歯列矯正を長く続けている人の中にはこのように感じる人もいるはずです。一般的に、歯列矯正で歯並びが整うまでの目安期間は1〜3年と言われています。しかし、当初矯正前に聞いていた予定期間よりも長くなってしまうと、このまま続けていいのか不安になってしまいますよね。そこで今回は、歯列矯正が長引いてしまう理由についてお話ししていきます。
矯正が終わらないことに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
矯正治療にかかる期間は?
歯列矯正がなかなか終わらないと不安に思っている方もいるかと思いますが、まずは一般的に歯列矯正にかかる期間の目安を理解しておきましょう。
矯正期間 |
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表側矯正 |
全体:1〜3年程度 部分:2ヶ月〜1年程度 |
裏側矯正 |
全体:2〜3年程度 部分:5ヶ月〜1年程度 |
ハーフリンガル矯正 |
全体:2〜3年程度 部分:5ヶ月〜1年程度 |
マウスピース矯正 |
全体:1〜3年程度 部分:2ヶ月〜1年程度 |
一般的に歯列矯正は1〜3年程度かかります。
どうして矯正には時間がかかるの?
歯列矯正にかかる期間は1〜3年程度ということがわかりました。ただし、この期間はあくまでも目安で、矯正範囲や矯正方法などの要素によっても大きく異なります。また、歯の動きやすさには個人差があるため、提示された期間より長くなることもあります。
そもそもどうして歯列矯正そのものにこんなに時間がかかってしまうものなのでしょうか。それには以下の理由があります。
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検査や治療計画の作成に時間がかかる
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歯が動くのは1ヶ月で約0.3~0.5mm
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後戻りを防ぐ保定期間がある
これらについて、詳しくみていきましょう。
検査や治療計画の作成に時間がかかる
歯列矯正は、クリニックへカウンセリングに行ったらすぐにスタートできるわけではありません。矯正装置を装着するまでに、精密検査や矯正装置の製作が必要です。
カウンセリングから矯正スタートまでの期間は、一般的に2ヵ月程度です。さらに、抜歯や虫歯治療など事前の処置が必要な場合は、矯正スタートまでの期間はさらに長くなることもあります。
すぐに矯正をはじめられると思っている方にとって、矯正をなかなか開始できないことは「矯正期間が長すぎる」と感じる理由の一つになります。
歯が動くのは1ヶ月で約0.3~0.5mm
歯の仕組みそのものが時間がかかってしまう原因の1つでもあります。歯列矯正は1ヶ月に0.3〜0.5mm程度と少しずつしか歯を動かせないのです。
歯列矯正は、歯根膜(歯の根っこの周りを覆っている繊維)の性質と骨の代謝機能を利用して歯を動かしています。歯に力を加えると歯根膜が伸び縮みをし、縮んだ側の骨が溶け(骨吸収)、伸びた側の歯根膜に新しい骨が作られます。
この骨吸収と再生を繰り返すことが、歯列矯正で歯を動かす仕組みです。骨が再生されるのを待ってから動かすため、時間がかかります。
また、歯に強い力をかければ早く動かせるわけでもありません。力が強すぎると「歯肉退縮(歯茎が下がる)」や「歯根吸収(歯の根っこが吸収され短くなる)」のリスクが高まります。
安全に矯正治療を行うには、適切な力で少しずつ歯を動かすことが重要です。
後戻りを防ぐ保定期間がある
歯列矯正には装置をつけて歯を動かす「矯正期間」と、きれいになった歯並びをキープする「保定期間」があります。矯正開始前に保定期間というものがあると知らないと、「矯正期間が長すぎる」と感じる原因になってしまいます。
矯正直後の歯は不安定な状態なので、そのまま放置しておくと元の位置に戻る「後戻り」を起こします。後戻りを防ぐためには、保定装置(リテーナー)を装着する保定期間が非常に重要です。一般的に保定期間は矯正期間と同じ期間、リテーナーの装着が必要になります。
たとえば矯正期間が2年だった場合、最低でもその後2年間は1日20時間以上リテーナーの装着をしなければなりません。そして、歯の状態が安定してきたら、徐々に装着時間を短くしていきます。
保定期間は長ければ長いほど後戻りを起こしにくくなるので、なかには10年以上リテーナーを使い続けている人もいます。
長いと感じるかもしれませんが、頑張ってきた矯正治療を無駄にしないためにも、できる限り長くリテーナーを装着するようにしましょう。
矯正が終わらない人に共通する7つの特徴
矯正治療に時間がかかってしまう理由について説明しました。ここからは、矯正が終わらない人に共通する7つの特徴について見ていきます。
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抜歯をする場合
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重度の不正咬合
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歯が動きにくい体質
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舌で歯をいじるなどの癖がある
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矯正器具が外れやすい
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歯磨きなどのケアが不十分
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定期的な通院をしていない
これらの特徴がある方は、矯正治療に時間がかかってしまう傾向にあります。
抜歯をする場合
抜歯をしたほうが歯列矯正がスムーズにいくと歯科医師が判断した場合は、抜歯をしてから歯列矯正に移行することがあります。
抜歯をするのは主に、歯並びが重度に乱れているためであることが多いです。そのため、抜歯をした方の歯列矯正は時間がかかる傾向があります。
重度の不正咬合
歯並びや噛み合わせの乱れが重度の場合、軽度の場合と比較して矯正期間は長くなる傾向にあります。重度の不正咬合は抜歯が必要になるケースが多く、歯を動かす本数や移動距離が多くなるからです。
特に重度の出っ歯や受け口など骨格に問題のある場合は、矯正治療だけでなく外科手術も必要になるため、治療期間は長くなります。
歯が動きにくい体質
歯の動きのスピードについては個人差があります。一般的には、若い人ほど歯の代謝が良いので歯の動きが早いと言われています。
また、性別によっても違いがあり、成人男性の場合は顎の骨が硬いために歯が動かしづらいです。
また、アンキローシスの場合もあります。アンキローシスとは、歯の根っこと歯を支えている骨に間にある「歯根膜」がなく、歯の根っこが骨と結合している状態のことです。歯根膜がないため、歯を動かすことができません。
レントゲン撮影や診察で診断することが困難で、矯正治療を始めてから気づくことが多いです。そのため、アンキローシスの場合は、治療計画を立て直す必要があります。
舌で歯をいじるなどの癖がある
舌の動きによって、矯正治療の効果が阻害されることもよくあります。例えば、舌が前歯を押す癖があると、前歯同士が噛み合ったり、内側に引っ込む動きが邪魔されます。
癖を直すことを意識したり、トレーニングをすることで改善するようにしましょう。
矯正器具が外れやすい
食べるものや食べ方、そして歯ぎしりや噛みしめといった口の中の習慣によって、ワイヤーやブラケットといった矯正の装置が外れてしまうこともあります。
装置が外れてしまうと、歯科医院に行くまでに矯正が中断されて治療が進まない状態になってしまいます。
装置がよく外れてしまう人は装着していない時間が長くなってしまうため、治療が長引くことが多いです。
歯磨きなどのケアが不十分
矯正治療をしていると、装置が邪魔で歯磨きが難しくなります。特にワイヤーやブラケット部分に汚れが付着したままになりやすいです。
そのため、きちんと口腔ケアをしないと虫歯や歯周病になってしまいます。矯正の治療をしている間に虫歯や歯周病になると、そちらの治療が優先になってしまうため、矯正治療が中断され、結果的に矯正の期間が長引いてしまうのです。
定期的な通院をしていない
矯正治療では約4〜6週間おきに歯科医院に通院する必要があります。なかなか歯科医院の予約がとれない、忙しすぎてスケジュールが合わないなど、様々な理由で定期的に通院できない方もいるでしょう。
歯列矯正の治療を長引かせないためにも、自分のスケジュールが忙しくないタイミングで矯正治療を始めるなど工夫が必要です。
矯正が早く終わる人の特徴は?
歯列矯正がなかなか終わらない人の特徴があるように、歯列矯正が早く終わる人の特徴もあります。
それは以下の4つとなります。
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部分矯正をしている
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新陳代謝が活発
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口周りの悪癖がない
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医師の指示や矯正器具の使い方を遵守している
それぞれ見ていきましょう。
部分矯正をしている
部分矯正は見た目を重視し、主に前歯の歯並びを整えるものです。
奥歯の噛み合わせを含めた全体矯正よりも動かす歯の本数が少ないので、部分矯正の方が早く終わります。
新陳代謝が活発
若い人ほど歯の代謝が高く、矯正治療にかかる時間を短縮することができます。
歯の周りの組織の新陳代謝が活発であれば、それだけ歯の動きが早くなり、歯列矯正の効果が高くなります。規則正しい生活や食生活、睡眠時間などに気を付けて体の新陳代謝を高めましょう。
また、健康な歯肉に保つことも大切です。過度な喫煙は血流を下げるので歯の移動が遅くなるといわれています。
口周りの悪癖がない
「舌で歯を押す」「唇や爪を噛む」「頬杖をつく」など口周りの悪癖はありませんか。
舌や口の周辺の癖を改善することで矯正の治療期間を短くすることができます。しかし、これは無意識にやっていることが多いので、常日頃からその癖が出てこないように気をつけることを強く意識する必要があるでしょう。
また、舌を正しい位置に置くことや舌の筋トレによって改善する場合もあるので、まずは歯科医師に相談することをおすすめします。
医師の指示や矯正器具の使い方を遵守している
歯科矯正に真面目に取り組むのも早く終わる人の特徴です。
特にマウスピースでの矯正治療の場合は、規定の装着時間を守るように心がけてください。マウスピース矯正では、装着時間の規定が1日20時間以上と言われています。ほぼ1日中装着が必要ですが、治療を長引かせないためには辛抱が必要です。自己管理が求められる矯正方法ですので、こういったことが難しい方はワイヤー矯正のほうが向いているかもしれません。
矯正装置が取れたり紛失したりといったトラブルがあった際にはすぐに報告し、矯正力が弱まる時間を少なくすることも重要です。
関連記事:歯の矯正期間は何年くらいかかる?早く終わる人の特徴や延びるリスクを紹介
矯正治療を早く終わらせるための方法
矯正治療が早く終わる人の特徴について説明しました。ここからは、矯正治療を早く終わらせるための方法をみていきます。
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定期的な通院・メンテナンス
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健康的な生活習慣の維持と口腔ケア
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インプラント矯正などのスピード矯正
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セカンドオピニオンで医師の判断を仰ぐ
これらを実践することで、矯正治療を早く終わらせることが可能です。
定期的な通院・メンテナンス
矯正治療には、定期的な通院による歯科医師からの処置やアドバイスが必要不可欠です。
計画通りに通院しないと、ワイヤーの調整をしたり、次のマウスピース治療に移行するといった処置ができなくなってしまいます。
やむを得ず予約をキャンセルした場合は、速やかに次の予約をとるように心がけてください。
健康的な生活習慣の維持と口腔ケア
特にワイヤーを使った矯正治療の場合は、ワイヤーやブラケット部分のブラッシングが不十分で、虫歯や歯周病に繋がることはよくあります。
矯正治療中に虫歯や歯周病になってしまった場合、いったん矯正治療を中断し虫歯や歯周病の治療を優先するので、矯正治療が長引いてしまいます。丁寧にきちんと歯磨きをして、虫歯や歯周病を防ぎましょう。
また、歯の周りの組織の新陳代謝を活発に促すためにも、規則正しい食生活や睡眠習慣を維持しましょう。
インプラント矯正などのスピード矯正
近年は歯列矯正技術の進歩により「スピード矯正」という歯の動きを早めるさまざまな方法が登場しています。ワイヤー矯正やマウスピース矯正にスピード矯正を併用することで、矯正期間を3〜6ヶ月程度短縮できます。
ただし、スピード矯正は専門性の高い方法なので、豊富な知識と高度な技術が必要です。そのため、対応できるクリニックは限られます。また、最新の機材を使用することもあるので、費用は高額になります。
スピード矯正の代表的な方法は以下の通りです。
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インプラント矯正:アンカースクリューというチタン製の小さなネジを歯槽骨に埋め込み、そこを支点に歯を動かす方法。通常の矯正より効率的に歯の移動ができます。
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コルチコトミー法:歯を支える歯槽骨の表面にある「皮質骨」という部分をあえて傷つけることで、骨の代謝を早めて歯を動きやすくする方法。
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オルソパルス:歯周組織に近赤外線を照射することで歯槽骨の細胞を活性化させる方法。主にマウスピース矯正の治療期間短縮に用いられます。
セカンドオピニオンで医師の判断を仰ぐ
「矯正期間が長引いている理由をしっかりと説明してくれない」「治療方針が頻繁に変更される」など、担当医に不信感を抱いている場合は、セカンドオピニオンを検討するのも一つの手です。
医師によって治療方針や考え方は異なります。ほかの医師の意見を聞くことで、このまま今のクリニックで矯正を継続しても大丈夫なのか、転医すべきかの判断材料になります。
まとめ
歯列矯正の期間は全体矯正だと1〜3年程度です。歯並びを綺麗に整えるためには、どうしてもある程度の期間が必要になります。ただでさえ時間がかかってしまうものなのに、歯並びの状態や矯正中の過ごし方によって、さらに期間が長くなるケースもあります。
「矯正期間が長すぎる」と不安に感じている場合は、まずは歯科医師に何が原因で長引いているのかを確認してみてください。それでも納得できない場合は、セカンドオピニオンでほかのドクターの意見を聞いてみましょう。
生活習慣の見直しや、治療との向き合い方次第では、期間を早めることもできるかもしれません。歯列矯正は医師と患者が協力して二人三脚で進めていくべきものです。一人で不安にならずに、向き合っていきましょう。
クリニック選びを不安に思っている方は、「歯の総合予約サイト~BEAUTEETH」で自分に合ったクリニックを探してカウンセリング相談してみるのも良いでしょう。