歯列矯正の仕組みは?マウスピース矯正・ワイヤー矯正のメカニズムや注意点をご紹介
歯列矯正を検討している方にとって、治療の仕組みを理解することは非常に重要です。不安や疑問を解消し、治療の選択に自信を持つための第一歩となります。
この記事では、歯がどのように動くのか、ワイヤー矯正やマウスピース矯正の具体的なメカニズムを詳しく紹介します。また、治療のステップや注意点についても触れ、安全で効果的な治療を受けるための知識を提供します。
しっかりと理解し、自分に最適な治療方法を見つけましょう。
歯列矯正の仕組みとは?
歯列矯正は、歯に継続的な力を加えることで歯を移動させ、理想的な歯並びを実現する治療法です。ここでは、歯列矯正の基本的な仕組みについて説明します。
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歯が動く仕組み
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歯の動かし方
これらのポイントを理解することで、歯列矯正がどのように機能するかをより深く知ることができます。
歯が動く仕組み
歯列矯正では、矯正装置を使用して歯に少しずつ力を加えます。その結果、徐々に歯が動いていきます。歯が動く具体的な仕組みは次のとおりです。
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矯正装置で歯に力をかける
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歯根膜内の血管から破骨細胞が分泌され、歯槽骨を溶かす
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圧迫された方向の歯槽骨は溶かされ、溶けた分だけ歯が動く
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力をかけた方向と反対側にある歯根膜は引っ張られて伸びる
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伸びた歯根膜内の血管からは造骨細胞が分泌される
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空いたスペースを埋めるように歯槽骨を作り、歯を安定させる
工程を何度も繰り返すことで、次第に歯が動いていきます。
歯の動かし方
歯列矯正では、以下のように歯を動かすことが可能です。
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水平移動(歯体移動)
歯と歯の隙間をなくすために、歯を水平方向に移動させます。
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回転(捻転)
ねじれて生えている歯の向きを正すために、歯を回転させます。
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引っ張り出す(挺出)
歯を上方向へ引っ張り出します。
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引っ込める(圧下)
上に飛び出している歯を下方向に引っ込めます。
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傾斜移動
歯根はあまり動かずに、歯冠(歯の頭)が動きます。
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歯根の移動(トルキング)
歯冠はあまり動かさず、歯根を主に動かします。
これらの方法を組み合わせて、理想的な歯並びを目指します。
矯正治療には長い時間がかかります。少しずつ継続的に力をかけることで、歯や周囲の組織に負担をかけずに歯を移動させているのです。
ワイヤー矯正の仕組み
前の段落で歯がどのように動くかについて説明しましたが、次にワイヤー矯正の仕組みを理解することが重要です。ここでは、ワイヤー矯正の具体的なメカニズムについて詳しく説明します。
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弾性のあるワイヤーで歯を動かす
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ブラケットを取り付けて力を伝える
これにより、ワイヤー矯正がどのように機能するのかを理解し、自分に合った治療法を選ぶようにしましょう。
ブラケットを取り付けて力を伝える
ブラケットとは、歯の表面に付ける小さな金属製の器具のことです。この器具にワイヤーを通すことで、歯に力を加えます。
ブラケットの取り付けには、非常に強力な樹脂製の接着剤を使います。強い衝撃を加えたり硬いものを食べたりすると、外れる可能性があるため注意が必要です。
弾性のあるワイヤーで歯を動かす
ワイヤーは高い弾性を持つ金属で、元の形に戻ろうとします。この力を利用して歯に矯正力を加え、少しずつ理想的な位置に歯が移動します。
ワイヤーの材質にはニッケル、チタン、ステンレスなどを使うことが一般的です。
マウスピース矯正の仕組み
ワイヤー矯正の仕組みを理解したところで、次にマウスピース矯正の仕組みについて説明します。ここでは、マウスピース矯正がどのように歯を動かすのかを詳しく説明します。
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小さなズレのあるマウスピースを作る
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マウスピースを交換して理想に近付ける
これにより、マウスピース矯正のメカニズムを理解し、自分に適した治療法を選ぶための知識を得ることができるでしょう。
小さなズレのあるマウスピースを作る
マウスピース矯正では、現在の歯並びと少しずれたマウスピースを使用します。そのずれを利用して、歯に圧力をかける仕組みです。
口腔内スキャナーなどで採取した歯型をもとに、カスタムメイドのマウスピースが作成されます。このマウスピースは理想的な歯型に設計されているため、装着すると圧力がかかるようになっています。
マウスピースを交換して理想に近付ける
治療の過程では、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。
マウスピースは交換前とわずかに違う形をしており、また圧力がかかります。この工程を段階的に繰り返すことで、理想的な歯並びに矯正していきます。
マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも圧力が弱く、長い時間を要します。治療期間中は1日20〜22時間の装着が必要です。
関連記事:マウスピース矯正とは?メリットやワイヤーとの金額の違いを紹介
矯正治療のステップ
マウスピース矯正の仕組みを理解したところで、次に矯正治療のステップについて説明します。ここでは、治療がどのように進行するかを詳しく説明します。
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初診とカウンセリング
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診断と治療計画
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矯正装置の装着
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定期調整
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保定期間
これにより、矯正治療の全体像を把握し、治療がどのように進むのかを理解することができます。
初診とカウンセリング
矯正治療を始める前に、医師との初診とカウンセリングが行われます。
歯並びに関する悩みや治療の目標、疑問点などを話し合う段階です。ここで大まかな治療期間や費用、治療方法についての説明がされます。この初診時のカウンセリングは、安心して治療をするための重要なステップです。
治療計画に納得して同意すると、次のステップに進みます。初診とカウンセリングは、治療に対する理解を深め、不安を解消するための重要なステップです。また、医師との信頼関係を築くための機会でもあります。
初診時に説明が不足していたり、不親切だと感じたりした場合は、他のクリニックで再度カウンセリングしてもらうのが良いでしょう。
診断と治療計画
初診後、治療を希望する場合は精密検査が行われます。歯並びや顎の状態を把握するために必要な工程です。この情報をもとに治療計画を立てていきます。
精密検査では歯型の採取やX線撮影を行い、歯並びが不揃いになった原因を調査します。歯の向きに問題があるのか、顎の骨に問題があるのかによって、異なるアプローチが必要です。
そのための詳細なデータを記録したうえで、患者の希望や生活スタイルに応じた治療計画が立てられます。
矯正装置の装着
治療計画が確定したら、矯正装置が装着されます。
ワイヤー矯正の場合は、次のような工程を踏むのが一般的です。
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歯の表面のクリーニング
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エッチング
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接着剤の塗布
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ブラケットの取り付け
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ワイヤーの装着
ブラケットを取り付けるには、歯の表面の汚れを落とし、微細な凹凸を作る必要があります。クリーニングとエッチングで準備ができたら、接着剤を塗布してブラケット、ワイヤーの順に取り付けていきます。
その後、矯正中の注意事項やブラッシングの方法に関するレクチャーを受け、取り付けの工程は終了です。
マウスピース矯正の場合は、製作したマウスピースを受け取り、使用上の注意や手入れの方法を聞き、終了します。マウスピース矯正の場合は5〜10分程度で済むケースもあります。
定期調整
治療期間中は、月に1〜2回の頻度で調整が必要です。矯正装置の力を微調整し、歯の移動を促進するための重要な工程です。欠かさずに通院してください。
また、口腔内の清潔を保つために、歯磨きやフロスの指導も行われます。
定期調整は、治療の進行をスムーズにするために不可欠です。生活スタイルに合わせて調整のスケジュールを組むことで、治療を計画通りに進めることができます。
治療中の問題や不安についても相談できるので、定期的に通院しましょう。
保定期間
矯正治療が完了し、歯並びが整った後は、保定期間が始まります。この期間は、歯が元の位置に戻らないようにするために重要です。
保定装置は、取り外し可能なマウスピースタイプや、歯の裏側に固定するタイプがあります。保定期間中も定期的に医師のチェックを受け、歯の安定状態を確認します。
保定期間は矯正期間と同等の時間が必要です。歯が安定するまでの期間、保定装置を適切に使用しましょう。
保定装置の清掃やメンテナンスも重要です。長期的な治療効果を維持するため、欠かさずに実践してください。
歯列矯正の仕組みに関する注意点
矯正治療のステップについて理解したところで、次に注意点について説明します。ここでは、矯正治療中に注意すべきポイントを詳しく説明します。
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強すぎる力は歯や骨にダメージを与える
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自力で矯正することはできない
これにより、矯正治療中に気を付けるべきことを理解し、安全かつ効果的な治療を受けるための知識を身につけることができます。
強すぎる力は歯や骨にダメージを与える
矯正治療で歯に加える力が強すぎると、歯や骨にダメージを与えるリスクがあります。
矯正治療の基本は、歯をゆっくりと安全に動かすことです。通常、1ヶ月で動かせる距離は0.3mm〜0.5mm程度です。これ以上の力をかけると、歯根膜や歯槽骨に過度の負担がかかる可能性があります。
強すぎる力が加わると、歯の根が短くなる「根吸収」や歯槽骨の吸収が起こり、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。適切な力で矯正を行うことで、歯の移動がスムーズに進み、骨のリモデリングが正常に行われるため、長期的な歯の健康が保たれます。
矯正治療は専門的な知識と経験を持つ医師が、患者ごとに異なる治療計画を立て、定期的な調整を行うことで進められます。矯正装置を自己判断で調整するようなことはしないでください。
適切な矯正治療を受けることで、歯や骨にかかる負担を最小限に抑え、健康な状態を維持しながら理想的な歯並びを実現することができます。
自力で矯正することはできない
矯正治療は、専門の医師によって計画的に行われるものです。自力で矯正することは非常に危険であり、絶対に避けるべき行為です。
自己流の方法で歯を動かそうとすると、歯や骨に深刻なダメージを与える可能性があります。例えば、自力矯正器具の使用で歯が思わぬ方向に動いてしまうと、噛み合わせの悪化や歯根吸収のリスクが高まります。
歯や歯茎、顎関節に過度の負担がかかり、痛みや不快感を引き起こす可能性があることにも注意が必要です。
矯正治療は、医師が患者の口腔内の状態を詳細に診断し、個別の治療計画を立てたうえで進められるものです。定期的な通院と調整が必要であり、専門の知識と技術を持つ医師に任せることで、安全かつ効果的な治療が可能となります。
自己流の矯正は治療結果を悪化させるだけでなく、将来的な歯の健康にも悪影響を及ぼすため避けるべきです。
まとめ
歯列矯正は、歯に力を加えて少しずつ理想的な位置に移動させる治療法です。矯正治療は、初診とカウンセリングから始まり、診断と治療計画、装置の装着、定期調整、保定期間を経て進行します。
治療中の注意点として、強すぎる力は歯や骨にダメージを与える可能性があり、自力での矯正は避けるべきです。矯正治療は専門の医師によって計画的に行われるべきであり、適切な診断と治療計画に基づいて進める必要があります。
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