インビザラインの平均期間は何年?長引いて後悔しないための対策と短縮のコツを押さえましょう

インビザラインの治療には、基本的に年単位の期間が必要です。治療の範囲によっては、数ヶ月から半年で終了することもあります。

ただし、インビザライン治療を行う中で期間が予定より長引くケースは珍しくありません。治療を計画的に進めるために、長引く原因を把握しておきましょう。

この記事では、インビザラインで後悔したくない方向けに平均期間と長期化する理由、短縮するコツを紹介します。コツを押さえることで長期化への不安の解消につながります。

 

インビザライン矯正にかかる平均期間は何年くらい?

  全体矯正 部分矯正
大人 1年~3年 2ヶ月~1年
子ども 6ヶ月~2年 -

インビザラインでの全体矯正の平均期間は大人が1年~3年、子どもが6ヶ月~2年です。成長期の子どもは代謝が活発で歯が動きやすいため、大人よりも短期間で済む傾向があります。

子どもの頃にインビザラインを始めておけば、治療期間が短いだけでなく痛みも少なくて済みます。

一方で部分矯正を行う場合の平均期間は、大人の場合2ヶ月~1年です。矯正する範囲が狭い分だけ早く治療が終了します。子どもの場合は歯列全体を動かすのが主流であるため、部分矯正の例はほとんどありません。

 

インビザライン矯正が長期化しやすいパターン

インビザラインが長期化しやすいパターンは、大きく5つあります。5つの項目のどれかに該当する場合は、矯正期間が長期化する可能性があると覚えておきましょう。

  • 抜歯を伴うパターン
  • 重度の叢生(そうせい)パターン
  • 奥歯が噛み合わないパターン
  • 歯槽骨が硬いパターン
  • 他の矯正と並行して実施するパターン

抜歯を伴うパターン

インビザラインの矯正期間は、抜歯を行うと長期化しやすいです。歯の大きさ・数と顎のバランスが悪いと、抜歯が検討されます。抜歯の目的は歯が動くスペースを作り、歯並びを整えることです。

ただ、抜歯の後は歯を大きく動かす必要があります。抜歯をしない場合と比べると、歯の移動距離が長くて歯並びが整うまでに時間を要します。

歯を移動させる距離が長い場合は、ワイヤー矯正との併用を勧められるケースも多いです。ワイヤー矯正はインビザラインよりも歯を大きく動かせる方法なので、2つの矯正方法を併用すると治療期間の短縮にもつながります。

重度の叢生(そうせい)パターン

叢生(そうせい)の症状が重度なら、インビザラインの矯正期間は長期化しやすいです。叢生(そうせい)は、歯が部分的に重なり合ってデコボコになっている状態を指します。歯と顎の大きさがアンバランス、もしくはスぺース不足なのが原因の1つです。

重度の叢生は、歯が重なって本来の位置から大きくずれている状態です。歯を適切な位置に戻すには、他の症例よりも時間を要します。歯の動き方には個人差があるため、叢生の症状が重度の場合は長期化する可能性が高いです。

歯を動かすスペースがない時は、抜歯も必要です。抜歯を伴うと治療期間のさらなる長期化につながります。

奥歯が噛み合わないパターン

インビザラインの矯正期間は、奥歯が噛み合わないと長期化しやすいです。奥歯が噛み合わない場合、いくつか原因があります。

  • 矯正装置が合っていない
  • 歯の移動距離が長い
  • 装着時間を守っていない

矯正装置が歯並びに合っておらず、ずれが生じている可能性があります。ずれが大きくなるとさらに悪化するリスクがあるため、早めに矯正装置を調整することが大切です。

歯の移動距離が長く、計画通りに歯が動いていないのも原因の1つです。歯の移動距離が長い場合、インビザラインだけだと対応できないケースがあります。

また、医師に指定された装着時間を守らないと、十分な矯正効果が得られません。矯正装置を外すタイミングは最低限にとどめ、1日最低でも20時間以上は装着しましょう。

歯槽骨が硬いパターン

インビザラインの矯正期間は、歯槽骨(しそうこつ)が硬いと長期化しやすいです。歯槽骨は歯を支えるための骨を指し、歯槽骨の骨密度や硬さには個人差があります

歯槽骨が柔らかいと、歯はスムーズに動きます。効率良く治療を進められるため、インビザラインの矯正期間の短縮につながります。逆に歯槽骨が硬い場合、歯の動きが悪く矯正期間が長引きやすいです。

歯槽骨が硬くて歯が動きにくいと、1つの装置を装着している期間が長くなります。新しい装置に交換するまでの日数が長くなるため、結果として矯正完了までの期間も延長になります。

他の矯正と並行して実施するパターン

インビザラインの矯正期間は、他の矯正と並行すると長引きやすいです。

他の矯正と並行する場合は、重度の叢生(そうせい)・出っ歯など歯を動かす距離が長い症例が多いので、それだけ期間を要する傾向にあります。

インビザラインのみでの治療が難しい場合は、ワイヤー矯正や顎間ゴムなど他の矯正方法を併用しますが、治療計画も複雑です。軽度の症例と比べて、計画通りに進めることも難しくなりやすいので、長期化する傾向があります。

他の矯正方法との並行が可能かは、医師のカウンセリングを受けて判断してもらいましょう。

 

インビザラインの矯正期間が長引く原因と予防策

インビザラインの矯正期間が長引く原因は、大きく4つあります。各原因に対する予防策を確認して、矯正期間の長期化を防ぎましょう。

  • インビザラインの装着時間が短い
  • インビザラインの管理が甘く交換時期を守らない
  • 口腔内やインビザラインが清潔に保たれていない
  • 定期健診に通わず自分の判断で矯正を進めている

インビザラインの装着時間が短い

インビザラインの矯正期間は、矯正装置の装着時間が短いと長引きます。インビザラインは、複数の矯正装置を段階的に取り替えて歯並びを矯正する治療です。

インビザラインのマウスピース1つで移動する歯の距離は0.25mm程度で、1日20時間以上装着する必要があります。新しい装置への交換は、1~2週間ごとです。

矯正装置を着け忘れたり正しくはまっていなかったりすると、十分な矯正効果が得られません。食事と歯磨きのタイミング以外では、常に装着を心がけましょう。

着け忘れを防止するなら、スマホのアラームやリマインド機能を活用したり毎日同じ時間に食事・歯磨きをしたりするのが効果的です。

インビザラインの管理が甘く交換時期を守らない

インビザラインの矯正期間は、矯正装置を正しいタイミングで交換しないと長引きます。主な原因はマウスピースの紛失や、自己判断で交換時期をずらしているなどです。。

紛失した場合は同じ型の装置を再作成する必要があります。再作成には費用が追加でかかるため、余計な出費を増やさないためにも管理を徹底しましょう。

マウスピースは取り外しが自由なので、外出先で紛失するケースは珍しくありません。専用のケースを持ち歩いたり、視界に入る位置に常に置いたりするのがおすすめです。

マウスピースは1枚につき、1~2週間程度装着し続けます。交換は自分で行うため、取り替えた日を手帳やスマホにメモしてタイミングを逃さないように心がけましょう。

口腔内やインビザラインが清潔に保たれていない

インビザラインの矯正期間は、口腔内トラブルによって長引きます。

虫歯や歯周病の治療後に歯列が変わり、マウスピースが合わなくなるパターンです。マウスピースが合わないと、矯正効果を得られず再作成が必要になります。

インビザライン矯正中は、口腔内トラブルを起こさないようにケアを徹底してください。

食事をする時は、矯正装置を外しましょう。歯と装置の間に食べカスが付着して、虫歯や歯周病の原因になります。

1日20時間以上装着するため、装置にはどうしても汚れが付着します。変色や細菌の繁殖などのリスクがあるため、歯と同様にこまめに磨いて清潔な状態をキープすることが大切です。ドラッグストアなどでマウスピースの洗浄剤が売っているため、定期的な洗浄を行いましょう。

定期健診に通わず自分の判断で矯正を進めている

インビザラインの矯正期間は、治療計画の修正(リファインメント)が必要になった場合に長引きます。

リファインメントは、治療計画と歯のずれを調整することです。数ミリの誤差を修正するために、計画を見直したりマウスピースを再作成したりします。

インビザラインを使用したマウスピース矯正を行う8割程度の方は、リファインメントが必要であるとされています。治療期間を長引かせないためには自己判断では進めず、定期健診を受けて医師の指示通りに治療を進めることが大切です。

定期健診では治療計画に進んでいるか、歯が計画通りに移動しているか、口腔内トラブルがないかなどをチェックします。治療計画とのずれを早期発見すれば、治療期間の短縮につながります。

 

インビザラインの治療期間を短縮するためのコツ

インビザラインの治療期間を短縮するには、4つのコツがあります。コツを押さえれば治療を効率よく進められたり、想定よりも費用を抑えられたりするメリットがあります。

  • 矯正する範囲を限定する
  • iTero(口腔内スキャナ)を導入中の医院を選ぶ
  • 他の矯正と組み合わせて治療する
  • 加速矯正装置を活用する

矯正する範囲を限定する

インビザラインの治療期間を短縮するなら、矯正範囲を限定するのも選択肢の1つです。

インビザラインは、全体よりも部分矯正の方が矯正期間を10か月ほど短縮できることもあります。費用面では数十万円単位の差額が発生する可能性が高く、出費を抑えることも可能です。

インビザラインの部分矯正が適用できるのは、次のケースに該当する場合です。歯並びを改善したい箇所が該当する方は、部分矯正を検討しましょう。

  • 軽度の出っ歯
  • 軽度の八重歯
  • 前歯部分のかみ合わせの悪さ
  • 軽度の前歯のねじれ

自分の症状が該当するのかを正確に判断したいなら、医師のカウンセリングを受けるのがおすすめです。インビザラインの部分矯正を検討している旨を伝えれば、適用できるかをチェックしてもらえます。

iTero(口腔内スキャナ)を導入中の医院を選ぶ

インビザラインの治療期間を短縮したい場合、iTero(口腔内スキャナ)を導入しているクリニックを選ぶのも選択肢の1つです。iTeroとは口腔内を3Dスキャンして歯型データを取るスキャナーです。

口腔内をデータ化するため現在の歯並びや噛み合わせ、虫歯のチェックなどを立体的に確認できます。治療の計画やシミュレーションができて、歯のリアルな動きを自分の目で直接確認できるのも魅力です。

iTero(口腔内スキャナ)は、データから歯型を採取します。すぐに型取りができるので、治療期間の短縮につながります。歯型を取る時の不快感や、嘔吐反応を感じにくいです。

【参考】iTero(口腔内スキャナ)公式サイト

他の矯正と組み合わせて治療する

インビザラインの治療期間を短縮する方法の1つが、組み合わせ治療を行うことです。

組み合わせ治療はインビザラインと他の矯正を組み合わせて順番に実施する方法で、より効率的に治療を進められるのが特徴です。

例えば、初期はワイヤー治療を行います。インビザラインよりも矯正力が強い傾向にあるため、短期間で歯を動かせるのが強みです。ある程度まで歯並びが改善したら、インビザラインで細かい調整を行いましょう。

インビザラインとワイヤーを用いた部分矯正を行うのも、治療方法の1つです。効率的に歯を動かせるため、治療期間の短縮が期待できます。

加速矯正装置を活用する

インビザラインの治療期間を短縮するなら、加速矯正装置を併用しましょう。

加速矯正装置とは、矯正治療の補助装置です。治療期間の短縮や、痛みの軽減などの効果が期待できます。

加速矯正装置は、光タイプと振動タイプの2種類があります。多くのクリニックで一般的に使用されているのは、光加速矯正装置「オーソパルス」です。弱い近赤外線を1日10分間照射して細胞を活発化させることで、歯の移動を早める仕組みです。

光加速矯正装置を使用すればマウスピースの交換期間が通常10〜2週間のところ、1週間程度に短縮できます。

マウスピースの交換期間が短くなれば、治療期間全体の短縮につながります。矯正治療を早く終了させたい方は、加速矯正装置を導入するクリニックを探しましょう。

関連記事:インビザラインと他のマウスピース矯正との違いを観点別に比較!種類やおすすめしないケースも紹介

インビザラインで5年以上かかると1から費用がかかる場合があるので注意

インビザラインを用いたマウスピース矯正が長期化して5年以上経過した場合、費用が全額払い直しになるケースがあります。再び高額な費用を支払ったり1日何十時間も矯正装置を装着したりなど、心身的・金銭的なストレスにつながります。

ただし、治療期間が5年以上かかるのは稀です。矯正装置を正しく装着していれば、一般的には5年以内には治療が完了します

治療に5年以上かかるのは矯正装置を長期間付けていなかったり、何らかの理由で中断していたりすることなどが考えられます。治療計画に沿って矯正装置を正しく装着し続け、払い戻しのリスクを回避しましょう。

 

インビザラインの詳しい矯正期間は専門医に聞いてみましょう

インビザラインの治療にかかる平均期間は、治療の範囲や受ける人物によって大きく変動します。長期化する原因はさまざまで、予防策を知っていれば未然に防げるものも多くあります。

インビザラインは目立ちにくくて、食事や歯磨きの時に取り外せる矯正方法です。長引く原因と短縮するコツを理解して、治療を効率的に進めましょう。インビザラインの詳細をより詳しく知りたい方は、医師のカウンセリングを受診してください。

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