矯正費用を返金できないと言われたら?返金されない理由や交渉方法を徹底解説
綺麗な歯並びを目指して歯列矯正を始めたにも関わらず、さまざまな事情で治療を断念するケースも少なくありません。転勤・引っ越しなど、ライフスタイルが変わることでやむを得ず治療を断念することもあるでしょう。
特に歯列矯正に失敗したときに気になるのが治療費の返金問題です。この記事では矯正費用が返金されない理由や、返金されるケースについて説明します。
一度始めた矯正治療費は返金してもらうことはできるのでしょうか?もしできないと言われてしまった場合、なぜ返金は不可能なのでしょうか?この記事では矯正費用の返金に関する疑問を解決することができます。
関連記事:矯正歯科を途中で変える場合の費用は?返金対応や転院先選びで注意すべき3つの要素を紹介
矯正費用が返金されないケースとその理由
矯正費用が返金されないケースは、以下のような理由があります。
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治療後に矯正が失敗していた場合
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契約内容によって返金されない場合
歯列矯正の場合、検査費用・装置代など事前に支払っているものが多く、途中で治療をやめても支払った金額が多くなります。
特に、歯列矯正の治療が完了した後は、返金される可能性は低いといえます。しかし、100%返金されないということではありません。明らかに歯列矯正が失敗したと思われる場合は、返金を請求できるケースもあります。
治療後に矯正が失敗していた場合
治療後に矯正が失敗していた場合、返金されないことがほとんどです。なぜなら、返金を請求できるのは、あくまでも明らかな医療ミス・説明義務違反の場合で、下記のような理由で歯列矯正が上手くいかなかったときは返金されない可能性が大きくなります。
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矯正器具を正しく装着していなかった
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医師の指導に従わなかった
まず、ひとつ目の「矯正器具を正しく装着していなかった」について説明します。歯列矯正にはいくつかの治療方法がありますが、マウスピースを使用して、歯を動かしながら矯正していく「マウスピース矯正」があります。
そのとき、この矯正器具を正しく装着していないと歯列矯正の失敗に繋がってしまうのです。このような行為が原因で矯正に失敗したときには、医師は治療に必要な責任を果たしており、患者側に問題があります。
この場合サービスに対する対価は含まれているので返金を請求するのは難しいです。
続いて、「医師の指導に従わなかった」について説明します。医師には治療に関する説明義務がありますが、医師の説明をよく聞かずに治療を継続した結果、歯列矯正に失敗した場合は返金されません。矯正治療では歯科医の指示を守ることが、必須事項となります。
契約内容によって返金されない場合
契約書を交わし、治療を開始した場合、返金ポリシーなどの記載に同意していることになるので、返金は難しくなってきます。
契約書には、治療内容や費用、返金制度の内容が明記されていることが条件となります。治療前に矯正治療に必要な診査を行い、治療方針や期間、費用などを提示し、患者が治療に同意した場合に契約書を交わします。
返金についての内容や契約違反等について記載されてるので、契約の前にしっかりと確認するようにしてください。
矯正費用が返金されるケースと返金額
治療後に矯正が失敗していた場合や契約内容によって返金されない場合はわかりましたが、高い費用をかけて行った歯列矯正に失敗したら、誰でも返金して欲しいと思うものではないでしょうか。
ここでは、歯列矯正で返金を請求できるケースを紹介します。矯正費用は以下の場合返金されます。
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明らかな医療ミスがあった場合
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矯正の途中で治療をやめる場合
詳しくみていきましょう。
明らかな医療ミスがあった場合
明らかな医療ミスで歯列矯正が失敗した場合は返金請求できます。それは法律的に不法行為に該当するからです。具体的な例は以下のとおりです。
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治療に必要な抜歯をしていない
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不必要な抜歯をした
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事前の検査が不十分で治療すべき歯を見落す
これらの医療サービスに関する不法行為と判断される場合は治療費の一部が返金される可能性があります。
矯正の途中で治療をやめる場合
歯列矯正治療の契約は、一般的な医療治療と同様に「準委任契約」になります。準委任契約とは、治療の結果に対するものではなく治療の過程で対価を支払うことを約束した契約です。治療の結果に対する責任を負うものではありません。
反対に、理由に関わらず患者はいつでも中途解約できるのが準委任契約の大きな特徴です。そのため、中途解約の場合、歯科医院はそれまでにかかった治療費の対価を差し引いた金額を返金する義務があります。ただし、それは治療費の対価であって、100%の金額が戻るということではありません。
返金額の目安
中途解約がされた場合、治療の割合に応じて返金対応が認められていますが、この「治療の割合」が具体的にどのくらいなのかは曖昧です。日本臨床矯正歯科医会では、治療の進行度によって下記のような返金の目安を設定しています。
永久歯列期のマルチブラケット装置による治療の場合を例にあげます。下記は、既に全額入金となっている患者に対しての返金する割合の目安です。
治療のステップ |
返金額判断の目安 |
全歯の整列 |
60~70%程度 |
犬歯の移動 |
40~60%程度 |
前歯の空隙閉鎖 |
30~40%程度 |
仕上げ |
20~30%程度 |
保定 |
0 ~ 5%程度 |
出典:日本臨床教師歯科医会
矯正費用の返金を要求する場合のステップ
矯正費用が返金されるケースがどのようなときかわかりましたが、実際に矯正費用の返金を要求する場合、どのように動いていくのがよいでしょうか。ステップは2つあります。
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クリニックとの交渉
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第三者機関の利用
クリニックとの交渉
まずは担当の歯科医師にどのようにして伝えるか、何を伝えるべきかをまとめておきましょう。そして返金希望の意思を医師に伝えます。そのとき、理由を明確に述べることが重要です。
支払いを一括で治療開始時に済ませている場合、「既に完了している治療費の差額」を返金してもらう形になります。ただし、完了している治療の基準が難しいので、いくら返金してもらえるのかは歯科医師との話し合いが必要になります。
分割で支払いを続けている場合、やめる前に追加でどれくらい費用が必要なのかをしっかりと医師に確認しなければなりません。基本的には矯正治療を開始する前に記入した契約書に、途中で治療をやめる場合の費用について記載があります。途中でやめることを話す前に必ず内容を確認するようにしましょう。
第三者機関の利用
クリニックとの話し合いがスムーズに行われなかった場合、第三者機関の利用をおすすめします。返金や支払いなど、矯正治療における費用のトラブルについては、消費者センターや医療機関の苦情窓口で相談に応じています。
また、歯列矯正の返金を求めるとき、民事責任を問わなければならないことから、法的な知識が必要なケースがあります。そのときは、弁護士に相談するのもひとつの手段です。弁護士の介入によって、医師が素直に応じてくれる可能性も高まります。
返金トラブルを未然に防ぐためのポイント
矯正費用の返金を要求する場合のステップとして、まずはクリニックとの交渉とそれでもスムーズにいかないときは、第三者機関の利用がおすすめです。しかしそもそも、返金トラブルは未然に防げるのがベストです。トラブルを避けるためのポイントは3つあります。
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契約書の内容を理解する
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質問と確認
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定期的なコミュニケーション
契約書の内容を理解する
歯列矯正では、治療前にクリニックと患者間で契約書を結ぶことが一般的です。契約書には、治療に関する返金ができないという内容が記載されていることが多いため、患者が失敗だと感じても、基本的には治療費の返金は行われません。
ただし、契約書に特定の条件が記載されている場合には、治療費の返金が可能な場合もあります。治療に関する契約書は、双方の権利と責任を明確にするための重要な書類です。
治療前に契約書を十分に理解し、治療に関する疑問や不安がある場合には、クリニックに相談することをおすすめします。
質問と確認
歯科医師に不安な点や疑問点を、その都度質問し、確認するようにしましょう。後回しにしないことが大切です。相談をすれば、治療方針を変更してもらうことや、患者の気になるポイントをリカバリーする方法を提案してもらえることもあります。
トラブルになる前に、不安な点は解決しておきましょう。
定期的なコミュニケーション
患者と歯科医師の間に定期的なコミュニケーションが取れていたら、トラブルは起きにくくなります。ひとつ前の「質問と確認」の内容も定期的なコミュニケーションが取れていたら、よりスムーズに行えるでしょう。
コミュニケーションを取るためにも歯科医院の選び方は重要です。
通いやすく、医師との意思疎通がしっかり取れる歯科医院を選びましょう。
まとめ
矯正治療をしていて、なんらかのタイミングで矯正治療を中断せざるを得ない場合があります。例えば、引越し、留学、出産、転勤など…。また、歯科医師と相性が合わなくなってしまうことや、精神的に矯正治療の継続が難しくなってしまうこともあります。
実際に治療をやめることになった場合、治療費は返金してもらえるのか不安になってしまいますよね。法律上では「治療が済んでいる費用は返金しなくてよい」ことになっています。
治療費を全額前払いしている場合は、既に完了している治療費の差額を返金してもらえる場合がありますが、「完了している治療」の基準が曖昧になるので、返金額がどれくらいになるのかはクリニックに必ず確認しましょう。
矯正費用が返金されるのは、明らかな医療ミスがあった場合と、矯正の途中で治療をやめた場合になります。これらの返金を求める際は、まずはかかりつけのクリニックに明確な理由を持って相談しにいきます。
それでもスムーズに話が進まない場合や、トラブルに繋がってしまう場合は、第三者機関に頼るのもひとつの手です。ただし、トラブルを未然に防ぐ努力はしましょう。契約書の内容をしっかりと理解し、医師とのコミュニケーションを定期的に取ることが大切です。
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