出っ歯の矯正費用は平均いくら?負担を抑える工夫と支払い方法の種類も紹介
出っ歯の矯正費用はマウスピース矯正の場合で約10万円〜100万円、ワイヤー矯正の場合で約30万円〜170万円が目安です。
しかし、出っ歯の程度や矯正方法によって費用が異なる上、大人の出っ歯の歯列矯正には原則として保険が適用されません。
実際、自分の出っ歯を矯正する場合どれくらいの金額が必要か気になる方もいるはずです。
この記事では、出っ歯の程度に合わせた最適な矯正方法が選べるよう、歯列矯正の種類や平均的な費用、安く抑える3つのコツについて紹介します
まず知りたい!矯正費用に関連する出っ歯の程度
矯正費用に関連する出っ歯の状態は、主に以下の3つに分類されます。
状態 | 概要 |
歯槽性上顎前突 | 歯並びに問題がある出っ歯。上の前歯が傾斜して下の前歯との間に隙間ができやすい。歯列矯正での改善が期待できる。 |
骨格性上顎前突 | 骨格に問題があり前突している出っ歯。上顎の過剰な成長および下顎の成長抑制が原因で発症リスクが高くなる。歯列矯正だけでなく外科手術が必要となるケースもある。 |
機能性上顎前突 | 子どもの頃からの習慣による出っ歯。歯と骨格が前突している。指しゃぶりや口呼吸などが発症リスクを高める。歯列矯正と習慣の見直しが必要。 |
歯槽性上顎前突は歯並びにだけ問題があるため、歯列矯正での改善が期待できます。
一方、骨格性上顎前突は顎の構造に問題があるため、根本的な改善には歯列矯正だけでなく外科手術も必要です。
また、機能性上顎前突は子どもの頃からの習慣による出っ歯のため、歯列矯正だけでなく口呼吸などの習慣も見直す必要があります。
出っ歯の原因によって歯列矯正での効果が変わるので、まずは自身の歯の状況と原因を把握しておくことが大切です。
関連記事:どこからが出っ歯?出っ歯の治し方6選
【方法別】出っ歯矯正の平均的な費用を紹介
出っ歯の矯正方法および平均的な費用、治療期間の目安は以下の通りです。
矯正方法 | 平均的な費用 | 治療期間 |
マウスピース矯正 | 全体:60万円~100万円
部分:10万円~40万円 |
全体:1年~3年程度
部分:2ヶ月~1年程度 |
ワイヤー矯正(表側) | 全体:60万円~130万円
部分:30万円~60万円 |
全体:1年~3年程度
部分:2ヶ月~1年程度 |
ワイヤー矯正(裏側) | 全体:100万円~170万円
部分:40万円~70万円 |
全体:2年~3年程度
部分:5ヶ月~1年程度 |
セラミック矯正 | 歯1本あたり
4万円~10万円 |
1ヶ月~3ヶ月程度 |
外科手術矯正 | 100万円~300万円 | ダウンタイム:1週間~3週間程度 |
マウスピース矯正
マウスピース矯正は専用の装置を着けて、歯並びを整える矯正方法です。1日に20時間以上装着し、歯並びの改善に従って装置を2~3回ほど作り直します。
ワイヤー矯正に比べると比較的痛みが少なく、着脱可能なため虫歯になりにくい点が人気の理由です。出っ歯だけでなく歯並び全体を矯正する場合、60万円〜100万円程度の費用がかかります。
出っ歯の改善が目的の場合、部分矯正での改善も期待できます。部分矯正なら費用は30万円〜60万円程度が目安です。ただし、マウスピース矯正だけでは対応できず、抜歯を伴う症例もあります。
矯正範囲 | 費用相場 |
全体矯正 | 60万円~100万円 |
部分矯正 | 10万円~40万円 |
関連記事:出っ歯はマウスピース矯正で治せる?必要な費用・期間や対応できない症例の対策も紹介
ワイヤー矯正(表側)
ワイヤー矯正は歯に装着したマルチブラケットにワイヤーを通し、少しずつ歯を牽引する矯正方法です。抜歯をともなう大きな歯の移動も可能で、大半の歯並びや噛み合わせに対応しています。
表側矯正(唇側矯正)は歯の表面にマルチブラケットを装着するため目立ちやすい一方で、裏側矯正に比べると安価な点がメリットの1つです。費用相場は全体矯正で60万円〜130万円程度、部分矯正で30万円〜60万円程度です。
矯正範囲 | 費用相場 |
全体矯正 | 60万円~130万円 |
部分矯正 | 30万円~60万円 |
ワイヤー矯正(裏側)
歯の裏側にマルチブラケットを装着する矯正方法が「裏側矯正(舌側矯正)」です。表側矯正に比べると口を開けた際にも目立ちにくく、比較的多くの症例に対応できる点が魅力といえます。
ただし、表側矯正に比べると高額であることが多いです。費用相場は全体矯正で100万円〜170万円程度、部分矯正で40万円〜70万円程度となります。
矯正範囲 | 費用相場 |
全体矯正 | 100万円~170万円 |
部分矯正 | 40万円~70万円 |
セラミック矯正
セラミック矯正は歯並びを改善したい歯、もしくは隣の歯を削り、セラミック製の人工歯を被せる矯正方法です。
自分の歯を動かす矯正方法ではないため、マウスピース矯正やワイヤー矯正に比べて治療期間が非常に短くて済みます。
しかし、自分の歯を犠牲にしなければならず、定期的に被せた人工歯を交換しなければならない点がデメリットです。セラミック矯正の費用相場は歯1本につき4万円〜10万円程度です。
外科手術矯正
重度の出っ歯や顎の骨に問題がある場合、外科手術による矯正を行うケースがあります。外科手術で顎の位置を調整すると、出っ歯を根本的に改善できる上、顔のバランスも整える効果が期待できます。
外科手術矯正はワイヤー矯正と併用されるケースも多いです。また、その他の矯正方法では改善が期待できない場合に、最後の手段として検討されるケースもあります。
大人の出っ歯を外科手術で矯正する場合、審美目的とみなされるため全額自己負担が原則です。費用の相場は100万円〜300万円程度です。
大人の出っ歯の矯正費用は基本的に保険適用外なので注意
大人の出っ歯を改善するために行われる歯列矯正は審美目的とみなされるため、基本的に健康保険が適用されず全額自己負担が原則です。
また、発達段階にある子どもの不正咬合を改善するための歯列矯正とは異なり、大人の歯列矯正は容姿を整える目的で行われるため、医療費控除の対象からも除外されます。
ただし、病状などに対して一般的に支出される水準を著しく超えない範囲の金額に関しては、医療費控除の対象となります。
たとえば歯列矯正に用いられるポーセレン(セラミックの一種)は、一般的に使用されると判断されるため医療費控除の対象です。
歯列矯正のための通院費や付添人の交通費なども、公共の交通機関を利用した場合は医療費控除の対象となります(自家用車を利用した場合は対象となりません)。
デンタルローンを利用して歯列矯正を受けた場合、医療控除の対象となるため領収書を保管しておきましょう。
出っ歯の矯正費用に関わる治療の流れを紹介
ここまで紹介した費用は矯正装置に関わるもので、クリニックによっては以下の各段階で追加費用が必要となるケースもあります。
- カウンセリング
- 精密検査
- 矯正装置の発注
- 矯正装置の装着・調整
- 保定期間の経過観察
歯列矯正を行う場合、事前にカウンセリングや精密検査が行われます。カウンセリングは無料もしくは5千円程度が一般的です。精密検査には2万円〜3万円程度が必要です。
精密検査の結果によっては、事前に抜歯処置や歯周病の治療、歯の研磨処置などにお金がかかります。
さらに矯正期間を終えた後、後戻りを防ぐために装着する保定装置(リテーナー)の発注に1万円〜6万円ほど必要です。
その他、装置の調整や経過観察で通院するたびに診察料もかかります。歯列矯正には装置の発注以外の行程においても、多少の費用がかかることを念頭に置いておきましょう。
出っ歯の矯正費用を安く抑える3つのコツ
一般的に出っ歯の歯列矯正には多額の費用が必要なため、少しでも安く抑えるコツを知っておきましょう。
- 上の歯だけの治療範囲が狭い部分矯正を選ぶ
- 希望の矯正方法に精通した医師からの提案を受ける
- 医師の指示を正しく守って治療を進める
上の歯だけの治療範囲が狭い部分矯正を選ぶ
出っ歯の矯正費用を安く抑えるコツの1つが、上の歯だけの治療範囲が狭い部分矯正を選ぶことです。
歯並び全体には問題がなく、出っ歯だけが気になるようであれば、部分矯正を選んで治療を進めると費用を抑えられます。
たとえばワイヤー矯正(表側)で歯並び全体を矯正すると60万円〜130万円程度が必要ですが、部分矯正であれば30万円〜60万円程度で済みます。
ただし、出っ歯の原因次第では全体矯正が必要となるため、医師のカウンセリングを受けてみてください。
希望の矯正方法に精通した医師からの提案を受ける
出っ歯の矯正費用を少しでも安く抑えたい方は、希望の矯正方法に精通した医師からの提案を受けましょう。
歯列矯正にはさまざまな方法があり、各矯正方法のプロからの意見を仰ぐことで、適切な効果が見込める治療の進め方がわかります。
歯列矯正を検討している方は、認定医が在籍している歯科医院やクリニックを選ぶのがおすすめです。
公益社団法人の日本矯正歯科学会が行う学会指定研修期間において、5年以上の矯正歯科研修を修了すると認定医になれます。
認定医がいる歯科医院・クリニックでは、歯列矯正に関して一定の知識や技術、経験を持つ医師による治療が受けられます。
また、歯科医院やクリニックのホームページで過去の成功実績などをチェックしたり、ユーザーからの口コミや評判を確認したりするのもおすすめです。
医師の指示を正しく守って治療を進める
出っ歯の矯正費用を少しでも安く抑えたいのであれば、医師の指示を正しく守って治療を進めることが大切です。
医師の提案した治療プランに沿って正しく歯列矯正を進めて、期間を延ばさないことが結果的に費用の節約につながります。
特にマウスピース矯正の場合は自己管理が重要なため、医師のアドバイスをしっかり聞きましょう。
【注意】出っ歯の矯正費用が上がるリスクを紹介
出っ歯の矯正中に以下の行動をとると十分な効果が見込めない上、追加費用がかかったり、期間延長による余計な診察・調整費用がかかったりする点に注意が必要です。
- ケアを怠って歯周病・虫歯が発症することによる治療の中断
- 矯正装置の装着時間が不足することによる矯正進行の遅延
- 矯正装置の紛失による再発注
ワイヤー矯正は歯の表面に矯正装置を着けるため、歯磨きなど日々のケアを怠ると歯周病や虫歯の発症リスクが増加します。
歯周病や虫歯を発症すると歯列矯正の中断を余儀なくされる上、歯周病や虫歯を治すための治療費が別途必要です。
また、マウスピース矯正は1日に20時間以上の装着が必要ですが、装着時間が不足すると矯正の進行が遅延し、余計な費用が必要となるケースもあります。
矯正装置を紛失すると再発注しなければならないため注意が必要です。ただし、歯列矯正の効果には個人差があるため、治療期間の目安はあくまでも参考程度に考えてください。
出っ歯の矯正費用の支払い方は2種類
出っ歯の歯列矯正に必要な費用は、主に以下2つの方法で支払うのが一般的です。
- トータルフィー制
- 処置別払い制
以下で2つの支払い方法のメリット・デメリットを紹介します。
トータルフィー制
トータルフィー制(総額固定料金制)は、治療を始める前に歯列矯正にかかる総額が提示されます。治療前に費用感が把握できて、それ以上の費用はかからない点がメリットの1つです。
また、通院のたびに治療費を支払う必要がないため、子どもがひとりで通院する際にもお金を持たせる必要がなく安心です。トータルフィー制のデメリットとしては、治療期間が短く済んでも治療費が変わらない点が挙げられます。
当初の予定よりも治療が早く済んでも料金が変わらないため、人によっては損をしたと考える方もいます。また、歯列矯正にともなう歯の動き方によっては、予定していた装置を使わずに済むケースもあるため、損したと感じる方がいるようです。
処置別払い制
処置別払い制は歯列矯正の治療のたびに、処置にかかる費用を支払う方法です。処置別払い制のメリットは、治療期間が短く済んだ場合に余計な費用を支払わなくて済む点です。
また、歯列矯正の効果に納得がいかない場合に、途中で治療を止めやすい点もメリットと言えます。
処置別払い制のデメリットとしては総額がわかりにくい点や、追加治療や期間延長が必要な場合に思っていた以上の費用がかかる点などが挙げられます。
出っ歯の矯正費用を支払う際に負担を軽減する方法
出っ歯の矯正費用を支払う際に以下の方法を使うと、大きな金額でも支払いの負担を減らせます。
- 院内分割払い
- クレジットカード分割払い
- デンタルローン
クリニックによっては矯正費用を院内分割払いで支払えるケースがあります。クレジット会社とは異なり、分割手数料がかからない点がメリットです。
クレジットカード払いは手軽に利用できる点がメリットですが、金利が高めとなっています。すでにクレジットカードを所有している方は、新たに申し込みや申請をする必要がありません。
一方、デンタルローンは歯科治療費の支払いに特化したローンです。クレジットカード払いに比べると金利が低い点がメリットですが、追加での借り入れはできません。また、利用する際は銀行の窓口やオンラインで申請を行った上で、審査に通る必要があります。
いずれの支払い方法もクリニックによって分割できる回数が異なるため、事前にホームページなどで確認しておきましょう。
出っ歯の程度に合わせた矯正方法を選んで費用を最適化しましょう
出っ歯を改善するためには、マウスピース矯正やワイヤー矯正を行うのが一般的です。セラミック矯正でも対応可能ですが、自分の歯を犠牲にするため長い目で見るとおすすめできません。
ただし、出っ歯の原因が骨格にある場合は歯列矯正だけでは改善が期待できず、外科手術が必要となるケースもあります。
出っ歯の矯正費用を少しでも安く抑えるためには部分矯正を選んだり、歯列矯正に精通した医師を選び正しく治療を進めたりするのがおすすめです。
出っ歯の程度や原因は個人差があるため、費用も加味して自分に合った矯正方法を選びましょう。
出っ歯の矯正方法や費用に関して詳しく知りたい方は、「歯の総合予約サイト~BEAUTEETH」のショート動画を参考にして、適したクリニックを探してしてみてください。